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知って、備えて、暮らしを守る。配偶者に手厚い改正相続法

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知って、備えて、暮らしを守る。配偶者に手厚い改正相続法
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平成30年7月6日に相続法が改正されました。

その背景には、高齢化社会の進展があり、配偶者に先立たれた高齢者の保護の必要性があります。

新しい相続法(以下、改正相続法と言う)では

  • 残された配偶者が住み慣れた家に住み続けられる配偶者居住権
  • 配偶者間で贈与された家の遺産分割時の持ち戻し免除
  • 相続をめぐる紛争を防止するために遺言書の積極的な活用を促す遺言書保管制度

などが新しく設けられました。

今回はこれらの制度について詳しく紹介していこうと思います。

本記事の執筆者について

1993年司法書士資格を取得、旅行業から法律業へ転身。97年に事務所を開設。現在コスモは日本最大の女性代表司法書士法人。
全国10拠点にオフィスを構える。「法律業を最高のサービス業へ」というスローガンは、封建的な士業界への疑念と、元旅行会社で培ったサービスマインド、そして女性法律家としての日々から得た、経験の賜物である。現在著書12冊、金融機関・生命保険会社等主催での講演活動は年間70回以上。
全国司法書士女性会副会長などを務める。その真髄は「100点満点は当たり前。120%の献身的な行動こそサービス」にある。/ 司法書士法人・行政書士法人コスモ

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配偶者居住権(長期)の創設(2020年4月1日施行)

配偶者居住権は

配偶者が被相続人所有の建物に、終身住み続けられる権利です。
不動産の評価額は高額になることが多いため、相続財産の総価額に占める割合が大きくなります。

改正前の内容で法定相続分に則って遺産分割を行うと、配偶者が被相続人と長く住み続けた自宅を手放して現金化しなければならなくなったり、自宅を相続するとそれ以外の財産(現金など)を相続できず、生活資金を確保できなくなるといった問題がありました。

さらに、配偶者以外の人が建物の所有権を相続すると、その所有権者と配偶者の間で賃貸契約等が成立しないと、配偶者の居住権を確保することができませんでした。

そこで改正相続法では、配偶者が死亡するまでの間、自宅に住み続けられる配偶者居住権を新設しました。

配偶者居住権は、被相続人の配偶者に建物の使用のみを認め、その物件から収益を上げたり、処分したりすることは認めない限定的な権利で、不動産の財産としての価値を、居住権とそれ以外に分けて考えられたものです。

配偶者居住権が創設されたことで、配偶者は居住権のみを相続し、他の相続人が配偶者居住権の付いた建物の所有権(負担付所有権)を相続するという対応ができるようになりました。

また、配偶者居住権の評価額は所有権よりも低額になるため、配偶者が自宅に住み続け、なおかつ一定以上の現金を相続する道も開かれました。

成立要件

配偶者居住権の成立要件には、

  • 被相続人が建物を配偶者以外と共有していないこと
  • 相続開始時に被相続人所有の建物に居住していたこと

等があります。

居住とは、配偶者がその建物を生活の本拠としていたことを意味します。
建物全体を使用しておらず一部の使用であったとしても、配偶者居住権は建物全体に及びます。

なお、建物の所有権を相続した人は、配偶者居住権の設定登記をしなければこれを第三者に対抗することはできません。

注意点

注意点は以下のとおりです。

自然発生する権利ではないので、この権利を得たい場合は、被相続人の遺言書や遺産分割協議での意思表示が必要になります。

また、配偶者居住権の価額の評価方法は確立されていません。
不動産の評価額の算定方法は複数あり、どの方法で評価するかで評価額に差が出ます。

そして、固定資産税を納めなければならないのは所有権を持つ人です。

配偶者が居住権のみで住み続け、所有権を他の相続人が相続した場合は、固定資産税等の費用負担をどうするか検討しておいたほうがよいでしょう。(マンションの場合は修繕積立金も同じです)

配偶者短期居住権の創設(2020年4月1日施行)

改正相続法では、配偶者短期居住権も新設されました。

配偶者短期居住権とは

被相続人の配偶者が、被相続人の建物に無償で居住していた場合、無償で一定期間済むことができる権利です。

一定期間とはどのくらいの長さでしょうか。

それは、

  1. 当該建物を配偶者を含む相続人で遺産分割する場合
  2. 配偶者以外の人が当該建物の所有権を取得した場合や配偶者が相続放棄した場合

に分けられます。

当該建物を配偶者を含む相続人で遺産分割する場合

遺産分割協議が確定した日または、相続開始から6カ月を経過した日のいずれか遅い日まで)

配偶者以外の人が当該建物の所有権を取得した場合や配偶者が相続放棄した場合

配偶者短期居住権の消滅の申し入れがあった日から6カ月を経過した日まで

配偶者短期居住権の成立要件には、配偶者が被相続人の財産である建物に相続開始時に無償で居住していることがあります。

建物の一部を無償で使用している場合はその部分のみに限られます。

なお、配偶者短期居住権は、配偶者居住権と違い、建物を被相続人が配偶者以外と共有していても発生します。

持ち戻しの免除の意思表示の推定規定(2019年7月1日施行)

「持ち戻し」という言葉を聞いたことがおありでしょうか。

法律の分野ではよく登場しますが、一般的には耳慣れない言葉かもしれません。

持ち戻しとは

被相続人が特定の相続人に生前贈与等で財産分与をしていた場合、その額(特別受益)を遺産に組み戻しした額を遺産の総額として相続人全員で遺産分割を行うことです。

例を挙げてみましょう。

配偶者Bは被相続人Aから自宅の生前贈与を受けていました。

Aは1,000万円の預貯金を残して死亡し、配偶者Bと息子のCが2人でAの遺産を相続することになりました。

旧相続法では、Aが残した預貯金1,000万円に、AがBに生前贈与した自宅分が持ち戻された額が遺産総額となります。

当該の自宅の評価額が3,000万円とすると預貯金との合計の4,000万円が遺産の価額となり、これをBとCで法定相続分に則って分割すると1人あたりの遺産相続額は2,000万円になります。

旧相続法の場合

預貯金は1,000万円しかありませんので、法定相続分どおりに遺産相続すると配偶者Bは自宅を処分して1,000万円を工面し、息子Cに渡さなくてはなりません。

改正相続法では、婚姻期間が20年以上である夫婦が、配偶者に対し、その居住用に建物またはその敷地(居住用不動産)を贈与または遺贈した場合は、持ち戻し免除の対象となりました。

前述の例では、評価額3,000万円の自宅は持ち戻しされず、預貯金の1,000万円のみが遺産分割の対象となります。

改正相続法の場合

ただし、持ち戻し免除の意思の推定規定は、被相続人が配偶者に贈与・遺贈した自宅の持ち戻しを免除する被相続人の意思表示があったと推定するものです。

配偶者以外の相続人が被相続人に反対の意思があったと立証できれば、原則通り持ち戻しが行われてしまいます。

したがって、配偶者に確実に自宅を残したい場合は、自宅の持ち戻し免除の効力に頼る以前に、遺言書等を用いて、遺言者の意思を明確な形で残すことをおすすめします。

遺言書保管制度(2020年7月10日施行)

相続に関するトラブルを防止する目的で、遺言制度をより使いやすいものにするため、改正相続法では、自筆証書遺言を法務局に保管する制度が設けられました。

遺言書には、

  • 本文を自筆で書く自筆証書遺言
  • 証人2名立ち合いのもとに公証役場で公証人に内容を伝えて作成する公正証書遺言

があります。

自筆証書遺言は、本人だけで作成することができ、書き換えも自由にできるというメリットがある一方、自宅保管が多いため、紛失や相続人による改ざん・隠匿、相続人が遺言書の存在に気づかない、遺言書としての要件を満たしておらず無効になるといった点が指摘されていました。

対して公正証書遺言は、自筆証書遺言のマイナス面は軽減されるものの、作成時に証人が必要であり、公証役場へ出向いて作成しなければならず、手間と費用がかかるといった問題があります。

そこで、2020年7月10日より、自筆証書遺言を法務局で保管する「遺言書保管制度」が新しく始まることになりました。

この制度では、遺言者本人が、遺言者保管の申請を住所地もしくは本籍地の法務局に行います。

代理人による申請は認められません。

申請の際は、法務局において遺言書としての要件が満たされているか否かを確認するため、封をしないで遺言書を持参します。

遺言書保管制度では、法務局で内容の確認を受けるため、要件を満たさず無効になるリスクが軽減するものと思われます。

また、自宅保管の自筆証書遺言は、遺言執行の際に、裁判所による検認手続きが必要ですが、法務局保管であればこの手続きは不要です。

法務局で保管中の遺言書については、遺言者が存命中は相続人が閲覧することはできません。

遺言者本人は、預けた法務局へ出向いた上で、閲覧することも、遺言書の撤回をすることも可能です。

なお、遺言を部分的に修正することはできず、内容を変更したい場合は、新たに作成することになります。

まとめ

法改正によって自筆証書遺言がより使いやすいツールになったとはいえ、専門家ではない人が、法律や税金の知識に鑑みて完全な遺言書を一人で作成するのは、無理があります。

遺言の内容がもとでトラブルになってしまう事例は数多くあり、訴訟に発展して遺言が無効とされた事例もあります。

心配な場合は司法書士や弁護士、税理士などの専門家に作成を支援してもらうとよいでしょう。

人生100年時代の生活とお金を守るための一助として、配偶者に配慮した改正相続法と遺言書を、ぜひ役立てていただければと思います。

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